自社に合う「AI OCR」比較のポイントは?

おすすめツールと選び方を解説

自社に合う「AI OCR」比較のポイントは?

AI OCRを比較する際は、読み取り対象が定型か非定型かを見極め、データ整形やシステム連携の機能まで含めて選定することが重要です。本記事では、AI OCRの基本機能から導入のメリット・デメリット、自社に合う選び方やおすすめツールまでを解説します。

この記事の要約

  • AI OCRはディープラーニング技術により、非定型帳票や手書き文字の高精度なデータ化が期待できる
  • 手作業の入力工数を削減し、RPAや会計ソフトと連携して業務プロセス全体の自動化を図れる
  • 認識精度は100%ではないため、人の手による最終確認作業や運用コストの発生に配慮する
  • 月間の処理枚数や書類の形式を整理し、後続システムへ連携できる出力形式かを評価してツールを選ぶ
  • 本格導入の前に自社帳票で読み取り精度を検証し、業務フローの再設計を行う

そもそもAI OCRとは?従来技術と何が違うのか

そもそもAI OCRとは?従来技術と何が違うのか

AI OCRは、従来のOCR(光学文字認識)に人工知能の技術を組み合わせたシステムです。従来技術との決定的な違いを2つの観点で整理します。

観点 要点
認識技術の進化 ディープラーニングを活用し手書き文字の読み取り精度が向上している
対応可能な帳票 フォーマットが異なる非定型帳票からのデータ抽出に対応できる製品もある

ディープラーニングを活用し手書き文字の認識精度を飛躍的に高めている

AI OCRはディープラーニング(膨大なデータを人工知能が自ら学習する技術)を取り入れることで、従来は困難だった手書き文字や複雑な筆跡の読み取り精度を高めています。従来のOCRは、活字やあらかじめ設定された枠内の文字以外は、正確な認識が難しいケースが多くありました。しかしAI OCRは、文字の崩れやかすれといったノイズを補正しながら文脈を推論する能力を持っています。その結果、書類の状態や筆跡にもよりますが、読み取りエラーの減少が期待でき、適切な条件下では高い精度でデータ化できるケースがあります。

フォーマットがバラバラな非定型帳票のデータ化にも柔軟に対応する

取引先ごとにレイアウトが異なる見積書や請求書など、フォーマットが一定でない非定型帳票をデータ化できる製品があるのもAI OCRの特徴です。従来のシステムでは、帳票のどの位置にどの項目があるかを事前に細かく設定する必要があるのが一般的でした。非定型帳票に対応したAI OCRであれば「金額」「日付」「会社名」といった項目をAIが自動で探し出し、文字として抽出してくれます。これにより、フォーマットがバラバラな書類でも事前設定の手間を抑えてデータ化を進められます。

業務効率化につながるAI OCR導入のメリット

業務効率化につながるAI OCR導入のメリット

経理や総務などのバックオフィス部門において、AI OCRの導入は業務プロセスを根本から改善できる可能性があります。代表的なメリットを解説します。

メリット 要点
工数の削減 手作業による入力と目視確認の時間を減らせる
システム連携 RPAや会計ソフトと繋ぎ、業務プロセス全体の自動化を図れる

手作業によるデータ入力と目視確認の工数を大幅に削減できる

AI OCRを導入する大きな恩恵の1つは、担当者が手作業で行っていたデータ入力や目視確認の工数削減が期待できることです。毎月大量に届く請求書や申込書を一つひとつ手打ちしていると、膨大な時間がかかるうえに入力ミスも生じかねません。AI OCRを活用すれば、書類の量や状態にもよりますが、スキャンした画像から短時間でテキストデータが生成されるため、担当者の作業は主に抽出結果の確認になります。これにより、入力業務にかかっていた時間を別のコア業務に充てる仕組みを整えやすくなります。

RPAや会計システムとの連携により業務プロセス全体を自動化できる

AI OCRで読み取ったデータを、RPA(パソコン上の定型作業をソフトウェアロボットに代行させる仕組み)や会計システムと連携させることで、入力から登録までの業務プロセス全体の自動化を図れます。単に文字をデータ化するだけでなく、抽出した情報を後続のシステムへ自動で受け渡す工夫が重要です。たとえば、AI OCRで請求書の金額や取引先を読み取り、RPAを使って社内の会計システムへ転記させるフローを構築する例が代表的です。このような一連のつながりを持たせることで、人手による作業を最小限に抑えた業務の自動化を実現しやすくなります。

導入前に知っておくべきAI OCRのデメリット

AI OCRは便利なツールですが、すべての業務が無人化されるわけではありません。導入を検討する前に押さえておくべき懸念点を整理します。

デメリット 要点
精度の限界 認識精度は100%ではないため人の手による最終確認がどうしても残る
コストの発生 初期費用のほか、月額料金や従量課金などのランニングコストがかかる

認識精度は100%ではないため人の手による最終確認がどうしても残る

AIの認識技術は進化していますが、現状では精度100%を保証することは難しく、人の手による最終確認作業が必要になるケースがほとんどです。文字の潰れや汚れが激しい書類、極端な走り書きなどは、AIでも正確に判別できないケースもあります。AI OCRを導入すればデータ入力業務を完全自動化できると考えられがちですが、実際には確認作業が残ることが一般的です。言い換えれば、人をゼロにするシステムではなく、人間の負担を最小限に抑えるためのアシストツールとして業務フローを設計することが大切です。

初期費用や従量課金などの継続的なランニングコストが発生する

AI OCRの利用には、初期費用のほかに月額固定費や読み取り枚数に応じた従量課金などのランニングコストが継続して発生するのが一般的です。クラウド型のサービスを導入する場合、サーバー機器の購入は不要ですが毎月の利用料がかかることが多いです。また、読み取り項目数や処理枚数が増えるほど従量課金が加算される料金体系が一般的です。導入によって削減できる人件費や残業代と、ツールの利用料を天秤にかけ、費用対効果が見合うかを事前にシミュレーションしておくことが重要です。

自社に合うAI OCRはどう選ぶ?比較検討のポイント

自社に合うAI OCRはどう選ぶ?比較検討のポイント

数あるAI OCRの中から自社の課題に最適なツールを選ぶための判断基準を解説します。

比較項目 判断基準
対象書類の形式 読み取り対象の書類が定型か非定型かを見極めて対応ツールを絞り込む
データ整形機能 読取後のデータ整形や不要項目の除外機能が備わっているかを確認する
出力形式の柔軟性 次工程のシステムにそのまま取り込める形式で出力できるかを評価する
料金プランの最適化 毎月の処理枚数を算出し定額制か従量課金か最適なプランを決める
データ管理基盤との一体性 読み取ったデータを蓄積・共有・活用する仕組みまで一体で整えられるかを確認する

読み取り対象の書類が定型か非定型かを見極めて対応ツールを絞り込む

まずは自社でデータ化したい書類が、フォーマットの決まった定型なのか、取引先ごとに異なる非定型なのかを見極めてツールを絞り込みます。自社が発行した申込書やアンケート用紙など、決まったレイアウトの定型帳票だけを読み取るなら、比較的安価なツールでも対応できる場合が多いでしょう。一方、外部から送られてくる請求書や納品書など、多種多様なフォーマットが混在する場合は、非定型帳票の認識に優れた専用エンジンを搭載したサービスを選ぶのがおすすめです。

読取後のデータ整形や不要項目の除外機能が備わっているかを確認する

現場で使いやすいデータを作るために、読み取った文字列の不要項目を除外したり、社内ルールに合わせて変換したりするデータ整形機能の有無を確認します。AI OCRが文字を抽出できても、「1式」「御中」などの不要な文字列が含まれていると、そのままでは後続のシステムに登録できない場合があります。そこで、読み取り結果から自動で特定の文字を削除したり、日付の形式を統一したりする機能が求められます。この整形機能が充実しているほど、読取後の手直し作業を減らせる傾向にあります。

次工程のシステムにそのまま取り込める形式で出力できるかを評価する

読み取ったデータを、CSVやExcelなど次工程のシステムにそのまま取り込める形式で出力できるかどうかも重要な比較ポイントです。文字を正しく抽出できても、出力されたデータ形式が自社の基幹システムと合わなければ、別担当者が手作業で加工する手間が発生する可能性があります。列の並び替えやヘッダーの付与など、出力ファイルのフォーマットを柔軟にカスタマイズできるツールを選ぶと、後続の連携業務をスムーズに進めやすくなります。

毎月の処理枚数を算出し定額制か従量課金か最適な料金プランを決める

月に何枚の書類を処理するのかを事前に算出し、定額制プランと従量課金プランのどちらがコストメリットを出せるかを見極めます。処理枚数が少ない場合は、使った分だけ支払う従量課金制のほうが月々のコストを安く抑えられる傾向があります。反対に、毎月数千枚以上の大量の帳票を処理するなら、一定枚数まで上限なく使える定額制プランを選ぶほうが割安になる傾向があります。繁忙期と閑散期で書類の量に差がある場合は、プランの切り替えが柔軟にできるかも確認事項です。

読み取ったデータを蓄積・活用する管理基盤まで一体で整えられるかを確認する

AI OCRを選ぶ際は、読み取り精度だけでなく、データ化した後の情報をどこに蓄積し、どのように活用するかまで考えておくことが重要です。OCRで抽出したデータをExcelファイルで個別に保存していると、情報が散らばって検索や集計に手間がかかり、担当者しか内容を把握できない状態になりかねません。読み取り結果をそのままデータベースに登録し、部署内で共有したり、グラフで可視化したり、承認フローに回したりできる環境があれば、データ化の効果を業務全体に広げやすくなります。

特に、請求書や申込書のほかにも管理したい業務データが多い企業では、OCR機能とデータ管理基盤が一体になったツールを選ぶと、システムを複数導入する負担やツール間の連携コストを抑えやすくなります。

比較検討したいおすすめのAI OCRツール

特徴が異なる代表的なAI OCRツールを、当社のRapidTableとあわせて紹介します。自社の要件に合わせて比較の軸に加えてください。

ツール名 主な特徴
RapidTable ノーコードデータベースにAI OCR機能を搭載し、読み取りからデータ管理・活用までを一元化できる
DX Suite 手書き文字や非定型帳票の高精度な読み取りに優れる
スマートOCR 非定型帳票の読み取りに強く、テンプレートの自動作成機能を搭載している
AIよみと~る 手厚いサポート体制が用意されており、初めての導入でも検討しやすい
Tegaki 独自技術により複雑な手書き文字や崩れ文字の認識に特化している
invox受取請求書 請求書処理に特化し、オペレーター確認を組み合わせて高精度を実現する

代表的なAI OCRサービスの一例です。特定の順位を示すものではありません。各サービスの情報は、2026年10月時点の各社公式サイトの情報にもとづきます。

RapidTable

RapidTableは、プログラミング不要でデータベースを構築できるノーコード・ローコードデータベース製品に、AI OCR機能を搭載したサービスです。画像内のテキスト情報をデータベースの項目へ自動入力できるため、OCRツールから別システムへデータを受け渡す手間を抑えられます。読み取ったデータは、入力フォームやデータ変換・加工機能、グラフ作成機能などと組み合わせて、蓄積から集計・分析まで同じ環境で扱えます。

また、ファイルのウイルススキャンや多要素認証(MFA)などのセキュリティ対策も備えています。書類のデータ化とあわせて、散在している業務データの一元管理まで進めたい企業に適しています。

参考:ノーコードで業務データを一元管理 | RapidTable

【関連記事】ノーコードツールとは?導入のメリット・デメリットと選び方を解説 | RapidTable

DX Suite

DX Suiteは、AI inside株式会社が提供する高機能AI OCRツールです。独自開発の大規模言語モデルを搭載し、手書き書類やフォーマットが異なる非定型帳票の高精度なデータ化が期待できます。帳票レイアウトを解析して必要な読取項目を自動生成する機能を備えており、設定工程を簡略化して実業務へ投入できる点が特徴です。複雑なレイアウトの書類が多い企業に適しています。

参考:DX Suite | 業務そのものをAI化する全社AI基盤

スマートOCR

スマートOCRは、書式がバラバラな非定型帳票の読み取りや、テンプレートの自動作成機能に強みを持つサービスです。請求書や領収書など、取引先ごとに異なるレイアウトの書類から特定の項目をAIが自動で探し出して抽出します。また、スマートフォンで撮影した歪みのある画像でも、自動で補正して読み取れる利便性が特徴です(画像の状態によっては読み取り精度が下がる場合もあります)。現場の担当者がスマホから手軽に書類を処理したい場合に適しています。

参考:スマートOCR|非定型帳票や手書き文字も読み取り可能のAI-OCR

AIよみと~る

AIよみと~るは、導入前から本格稼働後までのサポート体制に優れたAI OCRサービスです。

初めてAI OCRを導入する企業でも安心して運用できるよう、自社の帳票で読取精度を確かめられるデモ体験や、「おまかせRPA」と連携した自社システムへの自動入力の仕組みが用意されています。認識エンジンにはAI inside株式会社の「DX Suite」を活用しており、読み取り性能と充実したサポートを両立させているのが特徴です。

参考:AIよみと~る|サービス|法人のお客さま|NTT東日本

Tegaki

Tegakiは、ディープラーニングを活用した独自開発のアルゴリズムにより、手書き文字の読み取りに特化したAI OCRです。アンケート用紙や医療現場の問診票など、人の手で書かれた多様な筆跡や崩れ文字に対しても、高い認識率が期待できます。活字よりも手書きの書類を大量に処理する業務において、入力スピードの改善につながるでしょう。クラウドとオンプレミスのどちらでも利用できる点も魅力と言えます。

参考:Tegaki.ai

invox受取請求書

invox受取請求書は、請求書の受け取りからデータ化、会計システムへの連携までを一気通貫で処理する特化型のサービスです。AI OCRによる自動読み取りとオペレーターによる目視確認を組み合わせたデータ化を選択でき、オペレーター確認ありプランにおいては99.9%以上の高いデータ化精度を公表しています。請求書の処理業務において読み取り結果を自社で確認する手間を減らしたい経理部門に適したサービスです。

参考:invox受取請求書 – 紙でも電子でも受取請求書のデータ化・支払・計上を自動化するクラウド請求書受領システム

AI OCRの運用をスムーズに開始するために気をつけること

ツールを選定して導入を決めた後、実業務へスムーズに定着させるための注意点を解説します。

注意点 要点
事前の精度検証 本格導入前に自社帳票で読み取り精度や操作性を検証する
業務フローの再設計 スキャン作業からデータ出力後までの全体的な業務プロセスをあらかじめ見直す

本格導入前に自社帳票で読み取り精度を検証する

契約を結ぶ前に、自社で実際に使っている帳票で読み取り精度を確かめておくことが大切です。検証の方法はサービスによって異なります。無料トライアルのほかに、デモ体験や、問い合わせ・個別相談の場で確認できる場合もあるため、事前に確認方法を各社に問い合わせておくとよいでしょう。カタログ上で精度が高いとされていても、自社特有の業界用語や独自のフォーマットでは読み取りエラーが多く出るケースもあります。可能であれば、複数のツールで同じ請求書や申込書を使って結果を比べてみてください。文字が正しく認識されるか、修正画面が使いやすいか、出力データが後続システムに合うかを、現場の担当者に直接確認してもらうことをおすすめします。

スキャン作業からデータ出力後までの全体的な業務フローをあらかじめ再設計する

AI OCRを導入する際は、単にツールを入れるだけでなく、スキャンからデータ活用までの全体的な業務フローを再設計することが大切です。紙の書類を誰がどのタイミングでスキャンするのか、読み取りエラーがあった際の修正担当者は誰か、出力したデータをいつ基幹システムへ流し込むのかといったルールを明確にします。既存の手作業ベースのフローをそのままシステムに置き換えるのではなく、AI OCRの特性に合わせて工程を見直すことで、効率化につながりやすくなります。

まとめ

AI OCRは、ディープラーニング技術によって非定型帳票や手書き文字を高精度にデータ化できるツールです。自社に最適なサービスを選ぶためには、毎月の処理枚数や書類の形式を整理したうえで、データ整形機能や出力形式の柔軟性を、自社帳票で検証しながら比較検討することが大切です。

しかし、OCRツールと管理用のシステムを別々に導入すると、ツール間のデータ連携や社内調整の負担が残りやすくなります。読み取ったデータを「入力して終わり」にせず、蓄積・共有・分析まで活用するには、データ化と一元管理を同じ環境で完結できる仕組みが有効です。

「RapidTable」なら、ノーコードで構築したデータベースにAI OCR機能が統合されています。画像内のテキスト情報をデータベースの項目へ自動入力できるため、連携設定の手間を抑えながら、データ化から活用までの業務効率化を実現しやすくなります。自社の帳票や業務に合わせた活用方法を知りたい方は、資料請求やお問い合わせからお気軽にご相談ください。

※本記事は2026年10月執筆時点の情報にもとづいて作成しています。

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